「操業不能」漁業者反発 台湾船、尖閣海域進出へ 日台漁業協定

 尖閣諸島周辺で台湾漁船の操業を認める日台の取り決め(漁業協定)に対し、八重山でマグロ漁を営む漁業者から「尖閣では操業不能になる」と反発の声が上がっている。台湾漁船が地元漁業者のはえ縄を切断するトラブルが頻発した約10年前の「悪夢」が再来しかねないためだ。県は12日、政府に抗議。県議会でも地元選出議員を中心に、漁業者の安全操業確保を求める声が上がりそうだ。

 

 石垣島と尖閣諸島の間の海域はマグロの好漁場だが、漁業者によると、約10年前まで台湾漁船が日常的に出入り。台湾漁船が地元漁船のはえ縄を切断したり、ブイなどの漁具を勝手に捨てたりするトラブルが絶えなかった。


 漁業者によると、台湾漁船と地元漁船は、はえ縄を流す方向が異なるため、はえ縄が頻繁に絡まる。台湾漁船は地元漁船のはえ縄を切断し、自らのはえ縄を回収するという。


 現在では水産庁が取り締まりを強化し、台湾漁船を締め出したため、トラブルは目立たなくなっている。


 日台漁業協定では、尖閣周辺海域を「法令適用除外水域」(取り決め適用水域)とし、台湾漁船の操業を「自由化」。台湾漁船が石垣島北方海域まで進出する可能性も現実味を帯びてきた。


 久米島西のマグロの好漁場にも、日台が双方の操業を尊重し、操業秩序の確立のため最大限に努力する「特別協力水域」を設けた。


 マグロ船主会の並里学さんは「水産資源が少ないと言いながら、あんなにいい漁場を『はいどうぞ』と渡すのか」と憤る。協定にマグロ漁業者の要望は一切反映されていないという。


 名嘉全正さんは「(台湾漁船と一緒に操業すると)漁具が壊される。(台湾漁船の取り締まりが始まった)前よりも状況はひどくなるだろう。この海域は放棄するしかない」と指摘。「漁協の漁獲高は半減し、後継者も生まれなくなるだろう」と悲観する。


 こうした漁業者の声について砂川利勝県議は「漁業者の利害関係が絡む問題なのに、全く配慮に欠けている。他人の生活圏を奪うようなものだ」と政府を厳しく批判。県議会でもこの問題を取り上げる意向を示す。


 高嶺善伸県議は「大事なことは日台の友好関係。話し合いの窓口が動き出したことは評価したい」としながら「県や漁業者の意向が十分に反映されなかったことは残念。不安を払拭できるよう、地元漁業者の安全確保のルールづくりを早急に進めるべきだ」と述べた。


 水産庁の担当者は13日、市役所を訪れ、協定の内容を説明する予定。
 中山義隆市長は、内容の説明を受けるまでは詳細なコメントを控えるとした上で「八重山の漁業者が不利益にならないようにしてほしい」と求めた。