石垣を訪れて 宮本 真由佳

 「今日は30匹・・・」
 これは、新石垣空港が開港と同時に起きた一晩のロードキル、つまり車両によって轢き殺された動物の数だ。それまでもかなりの数の動物が車によって轢き殺されているとは聞いていたが、3月7日はかなり酷かった。おそらく開港で多くの観光客が訪れた結果だとは思うが、何故、車両が増えたことと同時にロードキルも増えるのだろうか。


 車を運転する人が気を付ければ車両は増えてもロードキルは増えないのではないか。しかし、悲しいかな車両とロードキルがイコールになってしまっている。私は、石垣島に住んでいるわけではなく、観光でしか訪れたことはない。しかし初めて行った石垣島で、道を走行する車のスピードの速さにも、ロードキルによって轢き殺された動物の数にもとても驚いた。


 私の住んでいる静岡県に比べると、道路も見通しがよく、信号機も少ない。それなのになぜロードキルが起きるのだろう。それはおそらくドライバーが道路上にいる野生動物に全く気を遣っていないからなのだろう。

 

 私は、動物が道に倒れていると、生死を確認し、死んでしまっていたら市役所に「こんにちは。県道37号線、小笠南小学校付近に狸が車両に轢かれ血を流し、死んでしまっています。すぐに安心できる場所へ連れていってあげて下さい」と電話をいれる。それは、死んでしまった動物を食べに来る動物が、また轢き殺されるという2次被害を防ぐためである。轢き殺された動物たちの姿は、車のスピードをもの語っているかのようにとてもひどい。


 しかし、市役所の人間は「宮本さんですね。わかりました。すぐに業者に行かせますから」といってまるで「自分の仕事を増やされて面倒だ」といわんばかりの口調で電話を切る。最近その付近に新しい道が造られた。その道は、緑豊かな山が連なっていたところを削りとって造られたものだ。山に生息していた動物達の行き場をなくしてまでも人間は快適さを求める。


 その山に出来た道を走る車両は、動物注意の表示があるにもかかわらず、真っ直ぐな見通しの良い道を、法定速度40キロをはるかに越え、70~80キロを平気で出して走行しているが、これは石垣島で目にした光景と同じことである。


 見通しが良く効く真っ直ぐな道でスピードを出して走りたくなるから法定速度を守らないに違いない。これからの季節、石垣島は観光客が増えてゆくだろう。それと同時にロードキルは更に増えることを私は大変心配している。


 法定速度を守ると言う当たり前のことをするだけで動物が轢き殺されずにすむ。時々「轢き殺されるのが人間であったらとてもこわい」という人もいるが、その言葉は動物ならよいと言って命の差別をしているようにも思える。自然が観光資源と言うならば、1匹1匹大切な命であると言う事をみんなが自覚し、動物と共存していける安全安心な島になってほしいと心から思っている。(会社員・静岡県小笠郡)