漁業者の怒り収まらず 「ここまで譲るのか」 水産庁長官、〝頭越し〟陳謝

本川長官との意見交換で、図面を示しながら日台漁業協定を批判する漁業者ら=20日午後、八重山漁協
本川長官との意見交換で、図面を示しながら日台漁業協定を批判する漁業者ら=20日午後、八重山漁協

 尖閣諸島海域で台湾漁船の操業を認める日台の漁業権をめぐる取り決め(協定)を受け、水産庁の本川一善長官が20日石垣入りし、八重山漁協で漁業者約30人と意見交換した。漁業者からは「どう見ても、ここまで台湾に譲るのはおかしい」などと怒りの声が収まらず、大荒れ。本川長官は、事実上、地元漁業者と事前調整がなかったことを認め「(協定の前に)漁業者1人ひとりの声をうかがう機会がなかった。非常に申し訳ない」と陳謝した。

 

 協定では従来、水産庁の取り締まりで台湾漁船が排除されていた石垣島北方のマグロの好漁場が「法令適用除外区域」となり、日台双方の操業が認められた。
 漁業者の1人は、同漁船に台湾漁船が殺到し、地元漁船のはえ縄が台湾側に切断されるトラブルの再発を懸念。「沖縄で台湾の被害を一番こうむっているのが八重山のマグロはえ縄船だ。はえ縄は300~500万円。切られたらどうやって飯を食うのか。財産を捨てに行くようなものだ」と反発した。


 同区域の線引きについても「地理的に見て明らかにおかしい」「(日本側の)海をもらってくれと言っているようなものだ」「今までのほうが安心操業できた」などと疑問の声が相次いだ。
 台湾漁船に加え、中国漁船も同区域に入り込む可能性を指摘する声もあった。
 水産庁側は、取り決めが適用される5月10日までに日台の漁業委員会を開き、トラブルの防止策についてルール作りを進める考えを説明。しかし漁業者は「ルールを決めてから協定を結ぶべきではないか」と国の姿勢を厳しく批判した。


 また本川長官らは、日台双方が操業できる「法令適用除外区域」「特別協力水域」外での台湾漁船の操業について、拿捕も含めて厳しく取り締まる方針を表明。
 本マグロシーズンの5月から7月まで、取締船を現在から倍増の10隻体制とし、最大級、最新鋭の取締船2隻も投入する、と説明した。日台の漁業委員会には地元漁業者の代表を加えるよう求める考えを示した。


 協定の撤回については、従来は台湾と協議する場がなかったとして「取り決めがあれば委員会を作って話し合えるが、撤回すれば、われわれの文句が言えない状況に戻る。(協定で)足がかりができた」と否定した。