不法操業「拿捕で対応」 発効後に、水産庁表明 漁具被害の復旧支援も漁業者は疑問視

意見交換後、報道陣の質問に答える本川長官=3日午後、八重山漁協
意見交換後、報道陣の質問に答える本川長官=3日午後、八重山漁協

 尖閣諸島周辺で台湾漁船の操業を認める日台漁業協定に八重山の漁業者が猛反発している問題で、水産庁の本川一善長官が3日石垣入りし、八重山漁協で漁業者約10人と意見交換した。本川長官は、協定で認められた水域を超えて不法操業する台湾漁船に対しては「原則として拿捕で対応する」と取り締まり強化を表明。はえ縄が台湾漁船に切断されるなどの漁具被害に対しては、復旧支援の費用を政府として予算措置する考えを示した。

 

 漁業者が協定撤廃を要求している石垣島北方海域と久米島西のマグロの好漁場について、本川長官は「日台漁業委員会で(台湾漁船の操業が認められる範囲を)限りなく縮小するよう求めたい。水産庁として一貫して対応する」と約束した。


 協定水域を超えた海域での取り締まり強化について、水産庁の担当者は「これまでは取り決め水域がなかったので、退去警告が中心だったが、(協定が適用される)10日以降は拿捕を前提とする。船の差し押さえ、裁判も考慮に入れて対応する」と明言した。


 しかし、与那国町漁協の中島勝治組合長は「台湾漁船はコーストガード(海保)に守られて操業していることがある。その場合はどうするのか」と疑問視。本川長官は「コーストガードは武装しているので手は出せない」と認め、漁業者から「自衛隊を出せ」と野次が飛ぶ場面もあった。


 台湾漁船による漁具被害について担当者は被害の発生日、操業位置、被害状況、被害額などを記録し、地元市町村の確認書を添えて申請すれば、国が復旧支援費を支給する制度を創設する方針を示した。


 しかし漁業者からは「マグロはえ縄船は2~3ヵ月で3千万円くらいの水揚げがあるのに、はえ縄を紛失すると半年は操業できない」という指摘が出た。


 台湾漁船が協定発効前から石垣島北方海域の協定水域内で操業開始している問題についても「台湾はちゃんと監督ができるのか。しっかりしたルールづくりができるのか」と怒りの声が上がった。担当者は「取り締まりで結果を出す」と答えるのが精いっぱいだった。


 意見交換後、本川長官は「日台漁業委員会には沖縄の漁業者にも入ってもらう。(地元の意見は)強く主張し、協議したい」と強調。協定の撤回を求める声に対しては「国交のない台湾と話し合の場ができたのは有意義なこと」と改めて理解を求めた。


 また、今後も地元との意見交換を重ねる考えを示した。