休眠中の普天間問題 住民は自衛策を急げ 比嘉 達雄

 依然として街の中央に居座る普天間基地。その恐怖心と県外移設闘争のストレスで苦悩する普天間住民(住民)。それでいて基地撤去を他力本願に委ねる住民。基地の県外移設の困難さを認識しつつも、県外移設をかたくなに主張する県外移設派の民衆。政局が動くときに普天間問題(普天間)も動くという異様な事象。その背後で沖縄の歴史問題と普天間をリンクさせて「県民受けする表現」で県外移設をあおる県内マスメディア。世論に逆らえず自ら政治理念を曲げてしまった政治家。


 成果の実らない県外移設の米国への直訴。住民の生命と安全を守るという目的を逸脱し「構造的差別」と「沖縄独立論」といった言葉のイデオロギー症候群に同化された普天間。こうした不条理が普天間を翻弄し、沖縄社会のパラダイムを歪めている。


 今、沖縄は冷静な観察力と洞察力と思考力を欠き、日米両政府への批判を一層強めている。


 とりわけ、マスコミ各社の論調をみると、以前より増して政府への反発の傾倒が顕著になっており、公正公平であるべき発信情報とそれによる県民の判断の健全性が問われ兼ねない。


 県民調査によると、9割の県民は県外移設を支持しているという。誰でもベスト(理想)を選択するため当然であろう。ただ問題は「支持したけど後は他に任せる」という県民の事なかれ主義だ。普天間には住民の命を守るという人道的な目的がある。県民がその移設先を県外に拘り、しかも住民の生命を案ずる意志があるとすれば、これまで多様な方法を講じても実現できなかった県外移設を今後どう実現するのか、見解を論ずるすべきだろう。それを従来のように県外移設という「掛け声」だけで弄ぶのは住民への暴挙ともいえる。住民は爆弾を抱えた基地近郊で怯えながら暮している。その状況を県民も共有すべきだ。


 先日、日米両政府で合意した基地返還計画が県に提示された。今計画が普天間固定化を回避する唯一の機会だというのに、県外移設派は同計画が政府の米国への卑屈によるものと決めつけ政府を痛烈に批判した。


 同計画が破綻したとき、とりもなおさず普天間は固定化する。
 普天間の打開策は固定化を除き二つ。①県内移設を認める(人命最優先)、②基地の全面撤去(沖縄の日米安保否定による日本国からの独立)のいずれかである。


 その選択のためには住民が過度の理想論や感情論に感化されず、現実的理性観で自分の命は自分で守るという自己防衛を思考することだ。(東京都)