史上最高齢の80歳で…

 史上最高齢の80歳でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎さんの晴ればれとした姿を報道で見て、勇気をもらった。80歳といえば、普通は階段で2階に上がるだけでも息が切れる世代だ。それが世界最高峰に到達したというのだから、人間の努力が生み出す奇跡は計り知れない◆三浦さんの快挙に、サミエル・ウルマンの「青春」という詩を思い出した人も多いだろう。「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心のあり方をいう」「年齢を重ねただけでは人は老いず、理想を失ったときに初めて老いる」―。何歳になっても挑戦心と冒険心を失わない三浦さんのような人は、いわば永遠の青春を生きている◆人はともすれば早熟の天才に目を奪われがちだが、例えば芸術の世界では、演奏家などは大器晩成が多い。年を重ねるほど円熟味が増すのだ。80歳を過ぎた指揮者が大オーケストラを自在に操る姿は痛快だ。70年代まで米国で活躍した大指揮者のストコフスキーは95歳で死去する直前まで活動を続け、レコード会社とは100歳までの録音契約を結んでいたという◆老いと死は避けられない運命だが、それをどう受け止めるかによって、人間のあり方は根本的に変わってくる。刻苦精励の末に到来する実り豊かな晩年も、人生の醍醐味だ。