尖閣諸島の領有権を…

 尖閣諸島の領有権をめぐり、中国が「日中間で棚上げの合意があったことは歴史的事実」と主張している。日本側にも中国の主張に迎合する動きがあるが、尖閣の地元である八重山の住民としては「棚上げ」など断じて認められない◆たとえば、先祖代々住んできた家に、他人が押しかけ「この家はおれのものだ」と主張したとする◆こちらとしては当然「言いがかりだ」と反論する。すると相手は「この家が誰のものであるかは、棚上げしよう」と言い出す。常識的に考えてみよう。そんな話に乗れるだろうか◆それで争いが解決するならば…と「棚上げ」を認めると、悔いを千載に残すことになる。簡単に言うとその時点で、自分の所有権があいまいであると認めたことになるからだ。相手はそこにつけ込み、後日、自分に有利な時期を選んで、必ず争いを再燃させてくる。その時には、こちらの立場は非常に弱くなっている◆尖閣問題で、安易に「争いを棚上げしよう」という人が国内でも非常に多いことに、驚きを禁じ得ない。ことによると戦後68年の平和を満喫するうち、日本人は戦略的思考を失いつつあるのかもしれない。八重山ですら、一部でそう言う人がいる。もちろん主張は自由だ。活発に議論したいし、論破したい。