「国境の危機」とは① 仲新城 誠

 八重山日報の仲新城誠編集長は6月、関西仏教懇話会(大阪)と日本会神奈川横浜支部総会で講演し、八重山が抱える国境問題を紹介した。両講演の内容を一つにまとめ、加筆修正して紹介する。

 

現場主義
 まず八重山諸島についてご説明します。石垣市、竹富町、与那国町の1市2町から構成されている島々です。石垣市とは石垣島と尖閣諸島のことです。尖閣問題が今、いろいろマスコミで取りざたされていますが、その意味では日本で今、一番ホットな地域かも知れません。東京までの距離は約1957キロですが、台湾(基隆)までは約277キロしかありません。


 竹富町は9つの有人島、7つの無人島から構成されています。このうち波照間島という島は、日本最南端の有人島です。ちなみに無人島は東京都の沖ノ鳥島です。
 与那国町は与那国島のことで、1島1町です。日本最西端の島で、晴れた日には島から台湾がうっすら見えるそうです。まさに国境の島ということになります。
 沖縄のマスコミについても紹介します。


 沖縄には、県全体をエリアとする「県紙」が2紙あります。発行部数は二つあわせて約30万部です。八重山諸島には、八重山をエリアとするローカル紙が2紙あります。一つが私たち八重山日報で、発行部数は約6千部。もう一つの新聞が発行部数は1万4千部ほど。また、宮古にも2つの新聞社があり、発行部数はそれぞれ1万5千部ほどだそうです。つまり、私たちは県内で最も弱小な新聞社です。規模といい、紙面の内容といい、人材といい、あらゆる面で私たちは他紙に圧倒されている状況です。経営状況もかなり厳しく、私たちは頑張れるうちに頑張らないといけない、と思っています。


 このように私たちは弱小ではありますが、これだけは他紙に負けない、とプライドを持っている点が一つあります。それは「現場主義」ということです。現場の光景を見て、現場の声を聞いて、現場のにおいをかいで、現場の土を踏みしめる、ということです。


 私は記者になって14年になりますが、会社に入りたてのころ、先輩から強く言われたことがありました。「話を聞くときは、電話では聞くな。必ず相手の所に足を運んで、直接話を聞け」。つまり、直接足を運んで取材するのと、電話で取材するのとでは、読者に伝えられる内容がまるで変わってくる、というのです。


 私たちは小世帯の新聞社ですが、常に現場主義に徹することをモットーにしています。今、尖閣諸島問題、与那国町の自衛隊配備問題、教科書採択問題など、国境の島をめぐってさまざまな問題が起きており、それは本土の新聞でも報道されていますが、本土の新聞記者は八重山には常駐していません。電話で現地の人に話を聞いて、記事にするほかないのです。


 その点、われわれは、国境の島々で何が起きているか、生の声を本土の皆さんに伝えることができると思います。大変責任の重い仕事ではありますが、やりがいも感じます。今日は、私がじかに見た国境の島々の現状、国境に迫る危機を、皆さんにお伝えできればと思います。
                                              (つづく)