参院選の争点を 八重山の視点で考える 徳松 信男

 参院選が7月4日公示され、沖縄選挙区から4人の候補者が立候補している。参院選の争点に関し違いはあるが、八重山について重要なことは、特に八重山振興と尖閣諸島問題である。憲法改正問題は、領土問題やその他の経済問題にも大きな影響はあるが、ここでは尖閣問題を主として考えてみよう。


 ひとついえることは、八重山で尖閣問題よりも普天間基地の問題ばかりを叫ぶことは適切ではない。なぜなら、石垣・普天間間は410kmほども離れており、普天間の基地に関する問題より、石垣市域の尖閣問題が、八重山では喫緊の課題である。


 尖閣問題に対し、候補者4人のスタンスは異なる。安里氏と金城氏は尖閣の防衛力について訴えている。糸数氏は対話による解決を目指しており、政府は尖閣領有権問題の存在を認め、中国との東シナ海の海洋資源の共同利用の枠組み作りを訴えている。新島氏は、尖閣諸島はどこの国のものでもなく、領有権の主張は人間のおろかさそのものだという訴えである。しかし、尖閣諸島がどこの国にも属さないというのは領土に対する認識をまったく欠いており、政治家としての議論の対象にはならない。糸数氏は「領有権問題の存在を認め、東シナ海を平和の海として海洋資源を公正、かつ持続可能に共同利用する枠組みをつくり、中国との合意達成に努めるべきだ」という。現在中国が一方的に進めている日中中間線付近の東シナ海 ガス田開発で日本側の抗議に耳を貸さない中国の姿勢を見ても「東シナ海を平和の海に」という主張はむなしく響く。 尖閣の領有権問題で話し合いのテーブルに着くということは、中国政府の主張と同じである。つまり、中国との交渉により、日本は尖閣の一部を明け渡すことになりかねず、ひいては東シナ海における日中間の線引きに影響し、非常に多くの権益を失うことにつながるのは間違いない。交渉の妥結は譲歩と妥協の産物であるからだ。さらに、平和憲法を守れば中国は尖閣諸島に侵攻しないとは言っていない。それどことろか、1992年の領海法で、石垣市の一部である尖閣諸島を中国の領土と定めている。中国との合意達成に努めるというが、氏の在職中に尖閣問題に対し、中国との間に何らかの成果 の上がる働きかけをしたのか。平和解決を目指すとあるが、現実に領海侵入を繰り返す中国に対し、一度でも効果的な主張をしたことがあるのか、厳しく問われるべきであろう。防衛のスタンスのない話し合いに成果が期待できるわけがない。何より中国や台湾による尖閣領有の主張は1970年以降であることを忘れてはならない。


 憲法改正も、尖閣問題と密接にリンクしている。なぜなら、現行の憲法体制下で、尖閣諸島を有効に守ることができるか否かという点で、安里・金城両氏は憲法改正を主張しているが、96条の改正については時期尚早および反対の姿勢をとっている。現憲法はできて67年にもなる。どの条文についても改正が時期尚早ということはありえない。突っ込んだ議論が必要である。


 八重山の振興に対し、糸数氏は具体策がある。たとえば離島を結ぶ航空便の確保と支援を訴えている。また日台漁業協定の見直しやドクターヘリの拡充、産婦人科医や小児科医の確保に力を入れ、親の所得格差による子どもへの教育格差の是正も視野に入れている。安里氏のいう一括交付金を離島振興に活用するという訴えは八重山にとって大いに利点があるが、優先的に活用するための理論的根拠が必要である。金城氏は八重山の経済基盤を固めると訴えるが具体策は乏しい。

 

 なお安里、金城両氏とも日台漁業協定をどうするかについてはあまり関心がないように見えるのは残念である。これは八重山の漁業者にとって死活的に重要な問題であるからである。


 普天間基地移設に対しては、辺野古か県外かで意見が分かれている。現状では、本土の自治体に受け入れ可能性はほとんどなく、受け入れさせるための手段を考えねばならないであろう。尖閣の防衛に辺野古移設は必要であるか否かも議論すべきだろう。その場合、辺野古移設にすべきか普天間続行かが論点となる。


 最後に、オスプレイの配備に対しては、安全性や性能に関しては統計資料を基に議論を戦わせ、尖閣諸島の有事の際にオスプレイ出動が必要であるか否かまであわせて議論を聞きたい。