琉球独立に潜む罠 ㊦ 兼次 映利加

 チベットでは今も多くの僧侶たちが焼身自殺を図り中国の弾圧に抗議をしていますが、その訴えもむなしく状況が好転することはありません。沖縄がそのようになってからでは遅いのです。


 独立を主張するならば、軍事力(防衛能力)を持たないこの小さな島がどのように独立を維持していくのかということまで具体的に示すべきでしょう。有事に際して「想定していなかった」と言い逃れて済むことではありませんし、今生きているわたしたちの決断は、未来に生きる子や孫の運命を分けるものになるからです。純粋な気持ちで、「力を持たなければ平和が訪れる」「力を放棄すれば仲良くできる」と信じる人のけがれなき思いは、調和の取れた社会においては喜ばれ、尊敬されるべきものだと思います。しかし今沖縄をとりまくのは調和とはかけはなれた世界なのです。わたしたちは楽園の夢から目覚めなければなりません。


 祖国やアメリカに対する恨みがましい言葉を並べるのではなく、『琉球独立』の四文字に、〝愛する沖縄がウイグルやチベットのようになる可能性が秘められている〟ということこそ県民にひろく周知しなくてはならないことです。今まさに悲運を辿っている国々の現実を知ってなお、「沖縄は独立をしたほうが良い」と思える人は一体どれぐらいいるでしょうか。我が子に悲惨な人生を歩んでほしいと願う親はいないはずです。


 中国に弾圧を受けている国々には共通する点がいくつかあります。中でも注意したいのは、〝侵略の直前には、内部から外敵を招く運動が起こっていた〟という点です。沖縄の独立運動は、当事者たちの真意に関わらず、それと同じことなのです。


 冒頭の会の概要には、「日米によって奴隷の境涯に追い込まれた琉球民族は自らの国を創ることで、人間としての尊厳、島や海や空、子孫、先祖の魂(まぶい)を守らなければならない」という一文があります。わたしたちは確かに守るべき多くの財産に恵まれています。そしてその財産を守る力は「知る」ことによって与えられます。歴史をよく知ることです。知は力なり。知識と情報は最大の武器です。無知によって祖国を失うよりも、知によって人間としての尊厳を守りましょう。(東京都)