最近の時代劇は…

 最近の時代劇は、どうも重厚さを失った、と感じることが多い。ヒーローのキャラクターが理由もなく、いかにも現代風のなよなよした青年に描かれていたりすると、興ざめするのだ◆たとえば主役は歴史上の人物で、冷血無比な戦略で次々と敵をなぎ倒していく。ところがドラマでは「自分はこんな悪い男でいいのだろうか」とうじうじ自己嫌悪に悩む◆さらには主役の妻や母親などが現れ、反戦平和思想をかざして夫に戦いをやめるよう説教する。主役は良心の呵責に悩みつつ戦い続ける―といった具合である。主役に「人間味」を出そうという脚本の配慮なのだろうが、こんな弱々しい人間の生き方から何か学ぶものがあるのだろうかと思う。特にNHKの大河ドラマは、この20年ほど、こうした作品が多くなった気がする◆時代劇に限らず、最近のドラマの中には、まるでコント仕立てのような軽薄な作品も見受けられるようになった。至るところにギャグを盛り込み、その時はその時で確かに面白いのだが、見終わったあとに何も残らない◆ドラマとは本来、刹那的な楽しみを与えるのではなく、悩める人間に生きる指針を示してくれるものではないだろうか。人生を変えるほどの衝撃度を持つドラマには、もう出会えないのだろうか。