抜本的な交通対策を 辻 維周

無謀運転が止まらない=名蔵湾
無謀運転が止まらない=名蔵湾

 新空港開港により石垣島を訪れる観光客は前年比20パーセント以上のプラスになり、このままで行くと年間観光客80万人突破は確実だろうと言われている。確かに川平湾や平久保灯台など主だった観光地には、連日観光客が押し寄せ、駐車場は満杯で順番待ちの車が列を作っている光景が見られる。これによる経済効果も相当大きく、ハローワークの求人情報を見てみると、レンタカー受付業務やホテルスタッフなど、観光サービス業関連がトップを占めていることからも、その効果のほどがうかがわれる。


 航空機のロードファクター(搭乗率)を見ると、JTA、ANAともに前年を若干下回る月があるようではあるが、新規に参入したピーチアビエーションやスカイマーク、さらに台湾からのチャーター便の搭乗旅客数が上乗せされたために、この数字が出てきたことは想像に難くない。


 しかし観光客数が急増したその裏側には、必ずマイナス要因も芽を出していると言うことを忘れるわけには行かない。


 現在のところ、一番の問題となっているのは、空港がある国道390号線沿線の交通量激増ならびに無謀運転の増加、レンタカーがらみの人身事故倍増である。


 旧空港は市街地にあり、発着便数も限られていた上に、小型機のみしか発着できなかったので観光客数も読めていたため表面化しなかった問題が、新空港ができた今、一気に浮上してきた。そのひとつは観光客増加に伴うレンタカーの増車である。レンタカー協会の調べによると、昨年の約3000台に対して、今年は約5000台(6月末現在)と、ほぼ75パーセント増しになっていると聞いたことがあるが、それでも夏休みシーズンは満車状態が続いているとのこと。


 これだけ増車されれば狭い島の交通量が激増するのは自明の理である。その上、レンタカーを使うのはほとんどが観光客であり、南の島に来たと言う開放感と、一歩郊外に出ると信号もほとんどなく、走りやすいと言うことがあいまって、ついつい首都高速並みの速度を出してしまうのであろう。知らない道で速度を出すと、それだけ事故の確率が高まると言う当たり前のことも忘れて。

 

 それに加えて、市街地~空港の距離が10キロ程度遠くなってしまったために、白保や空港の営業所へ、時間までに返却しなくてはならないレンタカーが飛ばすのみならず、市街地に営業所があるレンタカーの送迎車両やタクシーまでもが、客をさばくために制限速度を大幅に上回る速度で、国道や裏道に当たる宮良基幹農道を突っ走って行く。事故防止啓発の看板が多数設置されているにもかかわらず、ある。


 しかし国道390号線の沿線には、大浜、宮良、白保という歴史のある集落が連続しており、そこで暮らしている方々は、車両の急増や高速化のために、道路の横断すらままならないという状況になってきている。


 住民の安全が脅かされ続け、生活にまで支障が出ていることを何とか食い止めなくてはならないと、8月28日に石垣市教育委員会の高木健教育委員長と玉津博克教育長とが、レンタカー協会、タクシー会社、バス会社などに異例の要請を行い、安全運転励行を訴えた。


 レンタカーのドライバーは、当然のことながら常に入れ替わるため、営業所は継続的に注意喚起する必要がある。しかし営業所に到着客が集中すると、カウンター前に列を作ってしまうほど混雑するため、スタッフも十分な説明をせずに終わってしまうこともしばしばあると聞く。仮に色々と説明や注意をしても、肝心の利用者は早く出発したいために、上の空というケースがほとんどであるとも聞く。


 また、タクシーのドライバーや、レンタカー送迎車のドライバーは、少しでも運行効率を上げるために、制限40キロから50キロの道を、80キロから90キロで突っ走ってゆくものも少なくない。


 一方、路線バスは運行ダイヤに余裕を持たせてあるせいか、制限速度をほぼ守っているが、それにイライラしたレンタカーやタクシー、送迎車や一般車両までもが、平然と追い越し違反を行い、対向車とあわや正面衝突というケースを、自分自身何度も体験している。


 今まで述べてきたように、ドライバーのモラルに期待できないのであるならば、無謀ドライバーによる犠牲者が出る前に、八重山を走行する全車両には、60キロ以上出せないように速度リミッターの装着を義務付けるしかないのではなかろうか。


 車両運行従事者は「人命はすべてに優先する」という大原則を厳守する必要があり、ガイドブックを発行する出版社には、グルメや観光情報に加えて、石垣の交通事情も載せて頂かなくてはならないだろう。


 さらに八重山警察には覆面パトカーや白バイをも導入した、徹底した交通取締りをお願いしたい。いずれにしても今のままでは、観光客の急増に比例して、島が荒れてゆくのを食い止めることはできないのではないだろうか。