知恵と工夫で学力向上を 宮地 久子

 10月30日の「金波銀波」で、全国学力テストの学校別成績公表について取り上げられていたが、大阪市の公立小・中学校でも、児童・生徒の学力向上は、急務の課題となっている。


 橋下徹大阪市長は、土曜日に地域住民との交流の場を設ける授業や、小学校からの英語学習に力をいれたいようだが、学力の基本である「読み・書き・そろばん(計算)」をしっかりと身につけさせなければ、理科や社会の学習も伸びない。総合学習や遊び半分の英語学習は、コツコツと地道な努力をすることを嫌う今どきの子供たちにはウケるだろうが、学力向上につながるとは思えない。


 関西には学力向上に熱心な私立学校が数多くあるため、学習の大切さを知っている保護者は、子供たちを小学生のうちから塾に通わせ、中高一貫の私立校へ入学させる。我が子も、数年前に中学受験を経験したが、70名余りの同級生のほぼ半数が、地元の公立中学ではなく、私立の中高一貫高へ進学するという有り様であった。


 しかし保護者も、何も好き好んで学費の高い私立校へ子供たちを行かせたいわけではない。できれば気心の知れた友人たちのいる地元の公立学校へ通わせたいのだ。だが、子供たちの将来のためだと思って、中学受験、私立校進学を選択しているにすぎない。


 また、たとえ学費がかからない公立学校へ通学しても、高校、大学受験のためには学校の勉強だけでは不十分なため、結局は高い月謝を払って、放課後の夜遅くに塾や予備校へ通わせなければならない。同じような費用がかかり、子供自身にも負担がかかるなら、学校だけできちんと学力をつけてくれる私立高の方が、効率的だと考えているのだ。


 公立学校は、保護者の学費負担が少ないといっても、実は子供一人当たり年間100万円前後の国民の血税が投入されている。決してタダではないのだが、「安かろう、悪かろう」というイメージが定着してしまって、敬遠されているのだ。


 あるいは中学校では、体育会系のクラブに所属すると、早朝7時からの授業前と、放課後の夜7、8時まで毎日練習、さらに土・日にも練習や試合が行われて体力を使い果たしてしまい、勉強をする時間や体力が無くなってしまうという実態もある。その後、夕食をとるひまもなく塾へやってきも、せっかくの授業に身が入らない子も多い。


 私も日々、子供たちの学習支援に携わっている一人であり、彼らの学力を上げるには、教える側にも忍耐力と高い指導能力が求められることを痛感し、悩み続けている。それでも、「分かった、分かる、自分でできる!」という自信が子供たちのやる気を引き出し、「勉強は楽しい」と感じて自ら学習に励むようになる姿をみると、苦労は吹き飛んでしまうのだ。


 どうか、日本の国力を上げるために大事な基礎となる国民の学力向上に、政府や政治のリーダー、そして学校の先生方は力と智恵と創意工夫を尽くしていただきたい。その大人たちのたゆまぬ努力が、子供たち一人ひとりの可能性を開き、将来の夢や理想を叶えるため大きな力ともなるのだから。   (大阪府大阪市)