尖閣空島政策は軍備増強の陰謀だ③ 歴史を信じて決斷せよ 石井 望

 ここ二三ヶ月の間に、私は東京で尖閣に關聯する幾つかの會議に出席した。その席では政府周邊の立場の人々が口々に「尖閣はもう讓歩する以外に手が無い」と發言した。或る保守派の御用學者は、讓歩のすすめを政府要人に説いて囘ってゐると自分で語ってゐた。危機感の表明ではなく、あきらめの空氣が支配してゐるのだ。私は限りなく暗い氣持ちになった。年齡が高くなると面倒な喧嘩を好まないものだが、若い世代の未來と八重山住民の死活をさう簡單にあきらめてもらっては困る。


 今や憲法改正論議が盛んだが、憲法を幾ら改正しても、國を防衞する意志が無ければ無駄である。防衞意志の薄弱なるをごまかすために改憲論議をしてゐるのではあるまいか。尖閣常駐さへ實現すれば改憲も靖國參拜もしなくて良いと私は考へる。


 以上は一國民としての妄言である。私が研究にもとづいて確かなことを言へるのは、尖閣の歴史についてだけである。そもそも日本人は、尖閣が日本の領土であると信じてゐるのだらうか。「尖閣の歴史を議論するとチャイナ側の土俵にのせられる」と主張する保守論客が多い。彼らは我が日本の歴史を信じてゐないのだ。史實は全く逆である。現代の棚上げ論などを議論するからチャイナの土俵にのせられて、あきらめの空氣まで出て來るのであって、歴史で議論すれば日本の完勝である。尖閣の古名「釣魚嶼」は、數百年前に琉球國人が命名し、その後も琉球國の公務員が水先案内をして十九世紀に至る。チャイナの國境線は福建沿岸及び臺灣海岸に明瞭に線引きされてゐた。チャイナ國境線の外側の尖閣は無主地であった。多數の史料にその記録があることは、これまで八重山日報などが報じた通りである。安倍さん、歴史を信じて決斷して欲しい。(了)