年の終わりにあたって 辻 維周 

今日も沢山の観光客がやってくる
今日も沢山の観光客がやってくる

 今年もあと数日で終わり、新しい年を迎える。
 考えてみると今年の八重山は新空港開港に始まり、猛暑の夏、強い台風襲来、LCCの就航、中型機の就航などに伴う発着便数の倍増による観光客急増、イリオモテヤマネコの交通事故非常事態宣言、尖閣問題と、政治はもちろんの事、観光、自然環境と様々な課題が浮き彫りにされた。


 特に新石垣空港開港により、スカイマークやLCC(格安航空会社)に当たるピーチアビエーションの就航は、八重山の観光に大きな影響を与えた。またANAの中型機であるボーイング767―300型機の羽田~石垣直行便就航により、それまでのボーイング737―400、500、700型機に比べて、約1.5倍の乗客を運ぶことができるようになり、非常に効率のよい輸送ができるようになった。そのためか、今まではあまり団体が来なかった夏場にも、団体がやってくるようになった。つまり夏場は団体のオフシーズンだったのが、今年はオフシーズンがなくなってしまったのである。この事は中型機の平均搭乗率85パーセントという高搭乗率によっても裏付けられる。


 またスカイマークやLCC就航に伴い、本土からや沖縄からの航空運賃が劇的に下がった(例えば関西~石垣間をピーチで飛んだ場合の航空運賃は、大阪~東京の夜行高速バス運賃とほぼ同額)ことで、それまでは「ハワイに行くほうが安い」と言われていた八重山への旅行が、一気に身近になったことは大きな実績であろう。ただそれに伴って旅の形態も変化し、旅行業関係者からは今までは考えられなかった日帰りや、1泊2日の弾丸ツアーをする観光客が増え、来島者の数字だけはあがったものの、島全体での利益はそれほど上がってはいないという話も聞く。さらに夏のシーズン中は多くのホテルでオーバーブッキング(予約数超過)が起こり、一番ひどい例では溢れた客をどこにも振り替えることが出来ず、やむを得ず沖縄本島の系列ホテルに戻してしまったという、深刻な話も耳にした。


 ネット社会の現在ではこのような話は瞬時に広まって行くため、八重山全体の評判下落に直結するので、来年はいかにして激増した観光客に満足してもらい、長期滞在客としてリピートしてもらうかを検討しなくてはならないだろう。


 いずれにしても一日の発着便数70便(例えば中国地方第1の空港である広島空港は、国際線まで合わせても約50便)という数は、すでに離島ローカル空港の域を遥かに超えているということを島民全体が意識して、よりよい環境づくりをしなくてはならない時期に差し掛かっている。