レコードに針を落とし…

 レコードに針を落とし、リアルタイムで流行歌を聴いた世代は、現在の40代が最後かも知れない。CDの時代が到来して久しく、若者の音楽スタイルは、既にCDから高音質の音楽配信に移りつつある◆しかし現在でも、レコードの「温かい音」に魅せられている人は多い。音楽愛好家で、ラジオ番組のDJを務める佐久川広海さんは、番組でレコードをかけることが多い。年末にはベートーヴェンの「第9」のレコードコンサートを開くことが恒例となっている◆佐久川さんが訴えているのは、市立図書館に眠るレコードコレクションの活用だ。旧琉米文化会館から引き継いだ遺産で、クラシックをはじめとする多彩なジャンルの名演奏が、埃をかぶって眠っている。定期的なレコードコンサートを開けないか―というのが佐久川さんの提案だが、なかなか実現には至っていない◆CDと違ってレコードは、ジャケットから取り出す作業も含めて手間がかかる。確かに、忙しい現代人には縁遠いメディアだ。デジタル録音に比べれば音の輪郭も不鮮明かも知れない。だからこそ、レコードに針を落とし、スクラッチノイズの向こうに広がる世界にゆったりと耳を傾ける時間を持てるのは、今や極上のぜいたくだ。片手に一杯の紅茶があれば、なお良し、である。