米大統領ニクソンは七転び八起きの…

 米大統領ニクソンは七転び八起きの人生だった。政治家とは無縁の家庭に生まれながら若くして議員に当選し、39歳で副大統領に就任。しかしその後の大統領選、知事選と立て続けに破れ、不遇の時代を送る◆ようやく大統領に当選し、電撃的な中国訪問などを成し遂げたが、ウォーターゲート事件で失脚。今度こそ再起不能と思われたが、最晩年は豊富な政治経験を買われ、クリントン大統領からアドバイスを求められるなど、政界のご意見番として復活した◆日本に目を向けると、苦労して権力の頂点に立ち、晩節を汚さずに人生を全うしたという例は、実はそれほど多くない。古くは織田信長、豊臣秀吉が英雄と言われたが、その最期は必ずしも幸福ではなかった。例外は徳川家康だろう。田中角栄は今太閤と呼ばれたが、ロッキード事件のイメージが強い◆現代の政治家となると二世が多く、苦労人というイメージはあまりない。辛うじて、二世でありながら首相の退陣経験がある安倍首相くらいか◆飛びぬけてたくましさを感じるのは大阪市の橋下市長だ。タレントの知名度を活用して府知事に上りつめ、一時は政権を狙う勢いを見せたが、最近は失速。党も分裂だ。彼が政治家として幸福な人生を全うできるか、同時代人として興味がある。