記者になったばかりのころ…

 記者になったばかりのころ、先輩から「八重山の地元紙は県紙とは違う」と教わった。「隣の家でヤギに子どもが生まれた」「その隣の家で長男が大学に合格した」―。県紙にはなかなか載らない小さな話題でも、積極的に拾って載せる。ごく普通の住民の声を丹念に拾い、名前とともに活字にする。そこに地元紙の特色がある、と先輩は何度も強調した◆スポーツ面で、地元の少年サッカーや草野球の結果が、まるで全国紙のスポーツ面のように華々しく載る。取材する方は意識していないが、実際にプレーした選手たちにとっては、この上ない喜びだ。新聞に載る側の人たちの気持ちに配慮を忘れないように、というのが、今は会社を去った先輩が残した大きな教訓だった◆かえりみると今、その教訓を正しく受け継いで取材活動できているのか、反省させられることが多い。県紙と同じ感覚で「この程度の話題」という先入観で取材の手を抜いたり、全国のスポーツばかりに気を取られて、地元のスポーツをほとんど紙面で扱わなかったり―◆本当に住民の気持に沿った紙面づくりをしているのか、県紙の物まねに終わっているのではないか―と自問自答することがある◆地元紙には地元紙にしかできない仕事がある。今後とも「原点」を追求していきたい。