クラシック音楽界に…

 クラシック音楽界に古楽器派という潮流がある。作曲家が活躍していた100年以上前の時代に立ち戻り、当時使用されていた楽器を使い、奏法も当時のやり方を参考にしながら、曲を作曲家がイメージした「オリジナル」の形で再現しようという思想だ◆古楽の大家だったオランダの指揮者、フランス・ブリュッヘンが8月13日に79歳で、英国の指揮者クリストファー・ホグウッドが今月24日に74歳で、相次いで死去した。いずれも古楽器派の黎明(れいめい)期に、先駆者として活動した人たちだ◆ブリュッヘンは「18世紀オーケストラ」、ホグウッドは「エンシェント室内管弦楽団」を創設し、それぞれ最初期の古楽器オーケストラとして大きな注目を集めた◆現代の大オーケストラとは異なり、さわやかで透明な響きと、既成概念を覆す快活なテンポが特徴である。彼らの演奏で、聞き慣れたはずのハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどの交響曲が、全く違った曲のような魅力を放ち始めた。古楽器演奏は90年代から2000年代にかけて成熟期を迎え、今や、クラシック音楽は古楽器派の成果を抜きに語れないまでになっている◆私たちのもとには充実した音楽的成果が残されたが、先駆者が1人、また1人と去っていくのは淋しい。