捨て犬として殺処分寸前…

 捨て犬として殺処分寸前だった雑種犬「夢之丞」が、広島の土砂災害で救助犬として活躍し、話題になっている。倒壊した家屋の下などから人間を救出する役割を担う◆夢之丞は生後3~4カ月の時、広島県動物愛護センターでガス室に送られるところだった。偶然施設を訪れたNPОのメンバーに抱かれた時「自分の番が来たと直感したのか、小さな体が約30分間小刻みに震え続けたという」(毎日新聞)。夢之丞がNPОに保護されたあと、訓練を経て、救助犬として再生した◆小さな命を断つことはたやすいが、その命には大きな可能性が秘められていたのかも知れない。このエピソードは、一つの命が決して一つだけではなく、実は多くの命と連鎖していることを示唆してくれる◆誰にとってもかけがえがないのは「自分の命」だが、それは想像もできないほど遠い昔から、多くの先祖や周囲の人たちによって守り継がれてきた命である。特に県民にとっては、最近の大きな危機は沖縄戦だった。祖父や祖母、または父や母になるべき人が命を落とし、ついに存在することができなかった命も多いはずだ◆自分の命は自分の命であると同時に、託された命でもある。自分の肩に何が背負わされたのか、生き抜いてみないと分からない。