2012年の尖閣諸島国有化前から…

 2012年の尖閣諸島国有化前から、中国政府が執拗に続けてきた尖閣周辺への公船派遣や領海侵犯が、ついに実を結んだということだろうか。日中は尖閣を含む東シナ海で「緊張状態が生じている」ことについて、互いに異なる見解を持つことを認識する、と明文化した。日本がついに根負けした、という印象を持った◆武力行使はしない、とうたった憲法のもと、日本人は、常に対話を優先しなくてはならない、という平和教育を受けてきた。しかし現実の国際社会では、尖閣を狙う中国が、対話ではなく実力行使で尖閣を取り巻く従来の情勢を打破したように見える。従来の平和教育は何だったのか、問い直されなくてはならない◆さらに日中合意に至る一連の動きの中で、国際社会における日中の国力に厳然たる差が存在することもあらわになってしまった。今後の日中関係は、名実ともに中国が主導権を握る形で推移するという予感が強まる◆中国は現在、APECで予定されている日中首脳会談に配慮して、尖閣周辺の公船を接続水域外に退去させているようだ。だが会談が終われば、公船が再び尖閣海域に姿を現す可能性が高い。日本がいっそう劣勢になった状況で、尖閣争奪の第2ラウンドが始まる―という危惧がぬぐえない。