「この世をばわが世とぞ思ふ…

 「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」とは平安時代に栄華を極めた藤原道長の歌だが、関白ならぬ中小零細企業のサラリーマンの人生は「満ちれば欠ける」の連続ではないか。何か問題を解決したと思えば次の難問が持ち上がり、それも解決しないうちに次なる難問がのしかかってくる、という日々である◆残り少なくなった今年を振り返ってみると、結局何が何だか分からないうちに月日が積み重なっていったようだ◆時間の経つのも忘れてトラブルとの戦いに明け暮れるうちに年齢だけはベテランの域に達し、三十にして自立できず、四十にして惑い苦しみ、五十にして成すべきことを成していないという有様である◆米国のケネディ元大統領は「危機とは中国語でピンチとチャンスを意味する」と語ったという。今、目の前にある危機は一見ピンチのように見えて、実はチャンスなのかも知れない。チャンスをピンチと取り違えてしまうと、筆者のように出口のない消耗戦に突入し、体力も気力も衰え、結局は何事も成し遂げられないまま老人になってしまう◆ピンチとチャンスを見極めること。毎日のトラブルに窒息しそうな若い企業戦士の皆さんに、一歩立ち止まって、自分の立ち位置を再考するよう勧めたい。