2015年

3月

12日

タイの貧困街で育ちながら…

 タイの貧困街で育ちながら、子どものころに日本の支援団体がつくった図書館で学ぶ喜びを知り、現在は外交官として活躍している女性が10日付の本紙で紹介されている◆彼女の周辺には麻薬がはびこり、彼女の幼なじみには刑務所に収容された人もいて「本に出会わなかったら、私も犯罪に手を染めていたかも」と述懐している。一つの図書館、一冊の本が彼女の人生を変えた◆石垣市でもエーデルワイス会長の比屋根毅さんや、産経新聞顧問の桃原用昇さんが、郷土の後輩のため各学校に熱心に本を贈っていることが知られている。本がそろったからと言って、その年からすぐ学力が向上するわけではない。しかし、その本と出会った一人の子どもの運命が変われば、世界の運命が変わることも有り得る。本を贈る行為は地味かも知れないが、その効果は計り知れない◆新潟には「米百俵」という有名な逸話がある。戊辰戦争に敗北し、窮迫していた長岡藩の小林虎三郎が、周囲の反対を押し切り、支援米百俵を学校設立の資金に充てた。「米は食べてしまえば終わりだが、人材が育てば必ず故郷は復興できる」と周囲を説得した◆国も地方も人材が浮沈のカギを握る。胸を張って「教育立市・立町」を内外に宣言できる八重山になってほしい。