陸上自衛隊沿岸監視部隊が配備されて1年余が…

 陸上自衛隊沿岸監視部隊が配備されて1年余が経過した与那国島を訪れると、配備反対や賛成ののぼりや横断幕はすべて撤去されていた。両派が政治的パフォーマンスに憂き身をやつしていた時代は遠い過去のようで、自衛隊と共存する島としての歩みが始まっていた◆隊員と家族250人の転入で、島が突如「にぎわいを増した」というほどの状況ではなかったが、小学校周辺では以前より若い母親と子どもの姿が目立つような気がした◆いわゆる「十五の春」で中学を卒業した子どもたちが島を出ていく流れがある中、一定数の若者が島に居続ける仕組みが存在することの意義は大きい◆自衛隊駐屯地の庁舎は赤瓦屋根で、ごく自然に島の一角に溶け込んでおり、どこにでもある公共施設のよう。一般の町民が気軽に立ち寄れるような場所ではないことは確かだが「自衛隊駐屯地」という言葉からイメージするほど威圧的ではない◆自衛隊配備問題をめぐり「島を二分」「住民を分断」という表現はメディアで好んで使われるが、政治的な意見の対立はどこにでもあり、決着がつけばいずれ平穏な日常が戻る。紆余曲折を経た新石垣空港建設問題も結局はそうだった。石垣島も自衛隊配備問題の渦中にあるが、健全な議論は何ら恐れるべきものではない。