2011年に起きた「八重山教科書問題」の…

 2011年に起きた「八重山教科書問題」の教訓が何一つ生かされていない。来年度から使用される小学校道徳教科書の採択をめぐり、那覇地区で起きている騒ぎである◆那覇市、浦添市、久米島町、北大東村、南大東村の5市町村でつくる那覇地区の採択協議会は、教育出版の道徳教科書を選定◆しかし市民団体「子どもと教科書全国ネット21」は同社の教科書を「国旗・国歌を大きく扱っている」「安倍首相の写真を掲載している」「子どもに型にはまった礼儀を強制している」などと批判。これを受けて沖教組那覇支部が、那覇市教育委員会に採択撤回などを求めた。正当な教科書採択の手続きに対し、イデオロギー的な理由から介入しようというのである◆八重山でも、育鵬社の公民教科書に対する不当な誹謗中傷キャンペーンが展開され、公正公平であるべき教育行政がゆがめられる危機に陥った。あの過ちが再び沖縄で繰り返されようとは、あきれ返るほかない◆教科書に対する批判や反論は大いにあっていい。しかしルールにのっとって採択された教科書の排除を認めれば、法治国家は崩壊である。反基地の抗議現場を見ても分かるように、沖縄ではしばしば、権力ではなく「反権力」を称する人たちによって、民主主義の根幹が揺り動かされる。