トランプ米大統領が初来日へ

 トランプ米大統領が5日から就任後初めて来日し、安倍晋三首相との首脳会談で北朝鮮問題などを協議する。日米同盟は日本の平和と繁栄を外交的に担保する役割を果たしている。両国の強固な絆を再確認する場にしてほしい。
 米軍基地問題を抱える沖縄では、トランプ氏来日への期待感がさほど高いとは言えない。両国ともに、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を推進する方針を堅持しているが、県内では辺野古移設が新たな基地負担であるという誤解が根強いからだ。
 実際には、辺野古移設は基地負担軽減策の一環であり、普天間飛行場の撤去に向け、両国が現時点で唯一、合意している「解決策」でもある。
 トランプ氏は大統領選で、日本に対し米軍駐留経費の全額負担を要求し、日本が応じない場合の基地撤去をほのめかしたことがあった。沖縄でも基地反対派を中心に期待感が高まりかけた。
 しかし、トランプ氏が大統領就任後にトーンダウンするや、たちまち話題にする人もいなくなった。沖縄の安全保障を真剣に再考する好機だったと思うが、「熱しやすく、冷めやすく」では、沖縄から実のある提案はできまい。
 日米首脳会談の大きなテーマとなる北朝鮮問題について、安倍晋三首相は「国際社会と共に圧力を最大限まで高め、北朝鮮から対話をしてほしいと言ってくる状況をつくらなければならない」と強調した。日米で認識を共有したい。
 トランプ氏は、北朝鮮による拉致被害者の家族にも面会する。国連総会でトランプ氏が拉致問題に触れたことも意義深かった。面会が拉致問題に対する国際的な関心喚起への一歩となることが期待される。
 米国内では支持率低下などの問題が報じられているトランプ氏だが、自由闊達(かったつ)な言動を見ていると、現在のところ「政治家ずれ」していないことがプラスに働いているのではないか。
 対北朝鮮では、大統領がツイッターで過激な脅し文句を連発する一方、閣僚たちは繰り返し平和的解決の必要性を強調し、鮮やかとも言える硬軟の使い分けを見せている。
 テロ対策で打ち出した国境の壁建設、経済活性化に向けた法人税減税など、実現に向けたハードルは高いとはいえ、有言実行の姿勢も崩していない。
 自身に批判的なメディアを「フェイクニュース」と呼ぶのは勇み足の感もあるが、日米を問わず、トランプ氏に対しては必要以上にネガティブなニュースばかり氾濫しているのも事実だ。
 トランプ氏の日本滞在中、日米首脳の「ゴルフ外交」が展開される。安倍氏とトランプ氏は、個人的関係の良好さが何かとクローズアップされがちだ。ゴルフ外交は、他国に向けて親密さをアピールするパフォーマンスの意味もあるだろう。
 外交は国益を懸けたせめぎ合いの場であり、首脳の個人的関係だけで全てがうまくいくわけはない。米国の一方的なTPP脱退など、日本側がトランプ政権に振り回されている現実もあり、過大な期待は禁物だ。
 とはいえ、両首脳の関係が深まることが、日本外交にとって大きなチャンスであることに変わりはない。ゴルフといえども、日本の国益につながる重要なツールである。