「いばったところがなく…

 「いばったところがなく、とても自然で聡明だった」―。世界的チェロ奏者のパブロ・カザルスは、ホワイトハウスでの演奏会に招かれ、41歳年下のケネディ米大統領と面会した時の印象をこう回想している◆母国スペインの独裁政権を批判し、自由と平和を訴え続けたカザルスは、ケネディこそ世界のために力を尽くす大統領だと直感し、大きな期待を抱いた。わずか2年後の1963年、ケネディが暗殺された際は「これまで多くの人の死を見てきたが、これほど衝撃を受けたことはない」と語った◆尊敬する政治家としてケネディを挙げる人は日本でも多い。史上最年少の43歳で大統領に就任し、外交ではキューバ危機などを乗り越えソ連との平和を模索、内政では黒人の人権問題などに取り組んだ。3年足らずで暗殺されたため大きな業績は少ないが、その理想主義は現在でも称揚されている◆暗殺事件は謎が多く、オズワルド容疑者の単独犯行説が公式見解となっているものの、陰謀説がいまだに根強い。その生き方だけでなく、死によってもいまだに全世界に影響を与え続けている稀有な政治家だと言える◆今年はケネディの生誕100年であり、きょう22日で暗殺事件から54年。まだ「現代史」の範ちゅうに入る人物である。