「大事の思案は軽くすべし」。

 「大事の思案は軽くすべし」。江戸時代の佐賀藩に伝わる「葉隠」が説く人生訓だ。重要な問題というものは常日ごろから熟慮し、いざという時は軽々と決断すべきという◆石垣島への自衛隊配備問題で、中山義隆市長の腰が定まらない。昨年末には受け入れを表明したが、最終的な受け入れではないと説明し、決断をさらに引き延ばした。来年3月の市長選が近づき、そろそろ決断の時かと思えば、今度は選挙後の表明になる可能性があるという◆配備に慎重な公明党の要望が背景にあるようだが、日本の安全を左右する自衛隊配備が政争の具になり、ついには選挙戦略の具になる有様には嘆息を禁じ得ない。自衛隊配備はきのうやきょう、浮上してきた問題ではなく、十年来、常に論争の的だった。信念を持ち、常に決断できるよう「大事の思案」が市長には求められていたはずだが◆自衛隊配備は、いずれにせよ市長選で争点になる。中山市長は「尖閣の地元」の首長として、硬派なイメージで全国に知られてきた。自衛隊配備への賛否を曖昧にしたまま選挙に突入すれば、3選を果たしたとしても全国の保守派からは失望されるだろう◆石垣市が尖閣を抱える国境のまちである以上、誰が市長になっても自衛隊配備の必要性は変わらない。