衝突回避合意 日本に不利か 石井氏懸念「片務的」 尖閣周辺

インタビューに答える石井氏=24日午後、那覇空港
インタビューに答える石井氏=24日午後、那覇空港

 尖閣諸島周辺に日中両国の航空機や艦船が接近する場合、事前に連絡することで偶発的な衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の合意に向けた交渉が進んでいると報じられている。尖閣史の研究者である長崎純心大の石井望氏が28日までに那覇市で八重山日報の取材に応じ、同メカニズムへの懸念を示した。

 ―昨年12月6日、日中間で尖閣海空相互連絡メカニズムの合意に向けて交渉が始まったことは本紙も既に報じたが。
 「外務省の発表は東シナ海での連絡メカニズムであって、尖閣諸島という文字は含まれないが、事実上、尖閣が対象であると各社一斉に報道した。私は外務省に問い合せたが、外務省は返答できないとした。5月に日中間で合意見込みとされる文面でも尖閣に言及せず、実際の運用面で尖閣を含めると予測される」
 「その場合、日中いずれの航空機、艦船が尖閣に接近する場合も相互に事前連絡するだろう。日本が自国領土に接近する際も中国に連絡しなくてはならないという、おかしなことになる」
 「本当に相互連絡であるならば、中国にとっての自国領土、例えば尖閣奪取をにらんだ新基地建設が進んでいると報じられている浙江省沿岸の南麂(なんき)列島に中国軍機が接近する際には、中国から日本に事前に連絡すべきだ。東シナ海相互連絡と銘打っているが、事実上は東シナ海の西側が範囲に含まれるはずがなく、東側の尖閣列島だけについて日本が中国に事前連絡するという片務的メカニズムになる以外に考えられない」
 ―軍事面からも、そのように言えるか。
 「そもそも単純に軍事面では、現状の尖閣の守りは完璧であり、中国艦船は日本の領海を少しかすめて逃げていくのが精一杯だ。仮に中国軍が優勢であるならば、すでに中国軍が正面攻撃している」
 ―今後どうすべきだと考えるか。
 「国民の危機感の有無が決定的要因。世論が高まれば外務省も考えざるを得ない。尖閣は戦国時代から近代まで一貫して中国領土線の外であり、朱印船時代には世界で唯一日本だけが尖閣の位置を確認できていた。世論を高めるには歴史に対する理解が必要だ」