沖縄の未来決する1票

 台風24号の接近で、沖縄本島は大荒れ。激戦を繰り広げた知事選を象徴するような選挙戦最終日となった。自民、公明、維新が推薦する前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)と、翁長雄志知事の後継者である玉城デニー氏(58)による事実上の一騎打ちは、きょう投開票日を迎える。
 普天間飛行場の辺野古移設が重大な局面を迎え、2021年度で期限切れとなる沖縄振興特別措置法の改定問題も控える。沖縄は大きな曲がり角を迎えようとしており、次期知事が取り組むべき課題は他のどの地域にも増して重い。私たち有権者が投じる1票が、沖縄の未来を決する。
 振り返れば、佐喜真氏、玉城氏とも、それぞれの持ち味を十分に生かした選挙戦だった。
 佐喜真陣営は県民の所得向上、子育て支援など、政府との太いパイプを生かした経済振興策を前面に打ち出した。菅義偉官房長官、自民党の二階俊博幹事長、小泉進次郎筆頭副幹事長、石破茂元幹事長、公明党の山口那津男代表など、オールスターの応援弁士が続々沖縄入りした。佐喜真氏が当選すれば、安倍政権の後ろ盾で着実に公約を実現してくれるのではないか。有権者にこうした期待を抱かせるには十分だった。
 前回2014年知事選とは異なり、保守中道勢力が佐喜真氏支援で結集した。対決の構図が前々回知事選以前の「保守対革新」に回帰しつつあることは、佐喜真陣営の思惑通りだろう。
 玉城陣営は国政野党が支援しているが、政党色を極力薄める戦略を取った。自由党の小沢一郎代表、立憲民主党の枝野幸男代表、蓮舫参院議員、国民民主党の玉木雄一郎代表らが来県したが、玉城氏とともに街頭に立つことはなかった。「オール沖縄」「県民党」のイメージを強調し、保革を問わず支持を拡大する狙いがある。
 代わりに選挙戦後半で目立ったのは、亡き翁長氏その人だった。集会や街頭演説では翁長氏の妻、樹子さんや次男の雄治那覇市議が応援弁士を務め、翁長知事の遺志を継ぐ候補者であることを前面に打ち出した。玉城氏なら米軍基地問題で一歩も退かず、日米両政府と対峙できる。頼もしく感じた有権者も多いだろう。
 沖縄の知事選が全国的に注目されるのには理由がある。国境に位置する沖縄は、地理的に日本の安全保障を最前線で支えている。県民の悲願である米軍基地の整理縮小、日米地位協定の改定を進めながら、同時に中国や北朝鮮の侵略的な行動に備える要地であり続けなくてはならない。
 沖縄は米軍基地と尖閣諸島の双方を抱えている。県民はさまざまな苦しみを抱える。一方に偏らないバランス感覚が必要だ。
 安倍政権と翁長県政は約4年間、冷戦を続けた。沖縄振興を進める上で、国との関係はノドに刺さったトゲであり続けている。
 佐喜真氏は「対立から対話へ」、玉城氏は「沖縄新時代」をスローガンに掲げた。辺野古移設を最終的に容認するにせよ、県民の力を結集して阻止するにせよ、次の4年間のどこかでトゲを抜かなくてはならない。
 誰が新知事になっても、翁長県政からの〝バージョンアップ〟が求められるということだ。